たき火~詩・ひとりごと

そのゆらめきは妖しくも優しい

前髪

何でだろう

きみの前髪がぼくの顔にかかって

かゆくてしょうがない

横にきみがいて

無防備な寝息をたてていて

ふたりは今ひとつのはずなのに

かゆくてしょうがないんだ

 

完全な世界に生じた一点のシミが

徐々にぼくらの空間を蝕んでいく

気がつけば時計の針は一秒ごとに存在を主張し

冷蔵庫は夏の短い夢から覚めてうなり声をあげる

そう思えばきみはいやにリアルな一個の肉塊で

ぼくはきみの前髪にからめとられた悲しい小動物だった