2015-07-16 前髪 詩のようなもの 何でだろう きみの前髪がぼくの顔にかかって かゆくてしょうがない 横にきみがいて 無防備な寝息をたてていて ふたりは今ひとつのはずなのに かゆくてしょうがないんだ 完全な世界に生じた一点のシミが 徐々にぼくらの空間を蝕んでいく 気がつけば時計の針は一秒ごとに存在を主張し 冷蔵庫は夏の短い夢から覚めてうなり声をあげる そう思えばきみはいやにリアルな一個の肉塊で ぼくはきみの前髪にからめとられた悲しい小動物だった